早稲田サロン(2025.08.09)
8月の早稲田サロンは 去る9日(土曜)夕刻 定例会場の居酒屋「壱番館」に小金井
稲門会第7代会長(任期 2014ー2017)を務めた西村正臣さん(1962 第一商学部卒)
を講師役にお迎えして「古代中国の青銅器について」のタイトルでご講話い
ました。参加者は当初予定の14名から事情で急遽1名が欠席し これと入れ替る形
で1名が加わり さらに事前予約のなかった1名が来場したため、大テーブルを15
がぎっしり囲んでの「真夏の夜の講演」となりました。
西村さんは1962年3月に大学を卒業し、同年4月に (株)巴川製紙所に就職します。
サロンの本題に入る前に、製紙会社である同社が先の大戦中に陸軍
の要請を受けて、その高度な特殊紙の技術で極秘裏に精巧な偽札づ
作戦(「杉作戦」)に技術協力したという、興味深い逸話が紹介さ
敵対する当時の蒋介石政府が発行する中国紙幣の 信用失墜とインフレ助長によ
る経済面の攪乱で相手方の抗戦力を弱体化させ 併せて軍需資材類の購入にこの
偽札を充てようという、巧妙な作戦です。一見して軍需産業とは
に思われる製紙会社ですが、「紙風船爆弾」と並んで登戸研究所が
した 「紙による兵器」の一つで、不勉強の筆者にとって大変興味深い話
さて本題に入って、故郷の実家にあったのがきっかけで西村さんは
を抱くようになったそうです。社会人となり、出張した中国では
店を見て回ったり、高校時代の旧友が勤める都心の骨董品店でいろ
得たり、また勤務する京橋の本社近くから銀座の裏通りにかけて軒
の骨董品を扱う店舗を見て回りながら古代中国の歴史の知識と「真
眼」を養って「満を持し」た西村さんは経済的に余裕ができた五十
山千の骨董品屋の親父たちを向こうに回して直交渉し、自腹で少し
た数々の貴重な青銅器を今回、サロン会場に持参いただきました。
➡このうちの一部について 添付写真で紹介していますのでご参照ください。
古代中国の青銅器にまつわる話では 銅と錫の合金である青銅は融点が低く硬度
が高いという特徴が知られており 大型の生活用具や武器類に適した金属として
紀元前1600年代の殷(商)の時代になって盛んに製造されるよ
ただ 製造には膨大な量の銅及び錫と作業員を要したため所有者は王族や
限られ、黄金と同様に貴重な金属とされて権力の象徴としての祭器
れた「紋様」は鬼神崇拝による「とうてつ紋」と呼ばれる、神秘的
の獣面紋や、龍や鳳凰などの想像上の動物、それに虎・犀・象・羊
の紋様も多く用いれています。(写真参照)
殷(商)では先王を敬うか否かが禍福をもたらすと信じられていて
いにより行ったと云われ、多い時には一度に四百人規模の奴隷が 生贄とされたそ
うです。また殉葬も多く行われ 愛妾、衛兵等の多くの人々と多数の青銅器が埋
められたとのことです。これは殷墓の発掘によって明らかにされ
会場では 西村さんが持参した歴史を感じさせる青銅器がテーブル上に披露さ
出席した面々は 間近に見る珍しい青銅器を手に取りながら 刻まれた紋様やデザ
インに見入って歓談するうち、いつしか午後9時近くになって 会は盛況のうちに
お開きとなりました。
最後に、講師近影と講演風景写真、それに持参された青銅器の実物
て報告とさせていただきます。
以 上
早稲田サロン世話人 岸川 公一、矢吹 淳















