早稲田サロン(2026.05.16)

2026年5月早稲田サロン開催報告

講演題目:「40代の大学院生が見つけた仕事」
               (副題:男女共同参画センターで働いた20年)
講師      : 森田千恵さん(1982年文学部卒)
会場  : 萌え木ホール

2026年5月早稲田サロンは 今年1月に入会された 森田千恵さんを講師役にお迎えし、去る16日夕刻 会場の ”萌え木ホール” で 頭書の題目で ご講話いただきました。会場には総勢14名の会員の皆さんが参集し、プロジェクターでの森田さんの説明に熱心に聴き入りました。

1982年に大学を卒業した森田さんは某証券会社の研究所に一般事務職として就職します。その後、1987年に転職した外資系証券会社では経理担当として責任を持たされ、やり甲斐をもって働きます。しかし残業も多く結婚後しばらくしてから退職。その後 第一子を出産し、夫の地方転勤と第二子出産を経て36歳で東京に戻りさっそく再就職活動を始めます。

当時 子どもは4歳と1歳、正社員への壁は厚く 折からのバブル崩壊後の不景気もあり50社を受け結果は全滅。そのため、在宅業務やパート・派遣社員などで働きながら夫とは家事・育児を対等に分担し社会復帰を果たします。次女が保育園待機児童となったのをきっかけに入会した ”保育園を考える親の会” では、諸先輩の方々から共働きの生活上の工夫などの情報も得られ, 有益だったそうです。自身でも ” サバイバル☆ママ ” という再就職したいママを支援するホームページを運営し、仲間と交流します。

さらに、子育てしながら働くなかで森田さんは女性の地位向上を目指す投稿誌の存在を知り、そこで夫婦関係が子育てにおいての重要な ”肝(きも)” である点を再認識し「賢い女の夫選び・夫育て」を出版する機会を得ます。
そして人生で最大の転機となったのは, 家族社会学者の山田昌弘氏の著作に出逢い同氏が准教授を務める地元小金井市の東京学芸大学院修士課程に42歳で入学したことでした。社会人として子どもを持つ親として様々な経験をしてきたことが 学びを通してより一層面白く感じさせたそうです。

大学院卒業後は、偶然見つけた東京都の男女共同参画センターで勤務することになり大学院で学んだ社会学・ジェンダーの知識、妻・母としての経験も活かして働き始めます。そこでは、非常勤職員でありながら 大きなイベント企画を一から任され、講師との交渉・広報手配・当日の機材準備から司会進行までを一手に任されたそうで ”やり甲斐” を感じ、天職に出逢ったと感じさせられたそうです。

こうした経験を重ねながらその後 森田さんはいくつかの市や区の自治体の男女共同参画センターで コロナ期も含めた20年余を非常勤職員として勤務。この間に ”行列ができる(=魅力ある)講座” を目指し走り続けてきた半生だったと云えます。また常に仕事に就けると限らない非常勤職員の立場から資格取得が必要と考えこの間にキャリアカウンセラーと国家資格のキャリアコンサルタントの資格を取得し登録。女性の再就職支援や介護福祉職就業相談などにも取り組んできました。【注記:小金井市には現在のところ”男女共同参画センター”はありません】

その20年余を振り返り森田さんは総括して次のようにおっしゃいます。
*男女共同参画センターとは云いながら職場の非常勤職員(非正規労働者) の8割が女性。責任は重いが処遇は低い。その実態は男女間の扱いに大いに不平等性が残る職場だった。
*この世界に20年以上関わったがいまだ日本の社会は男女平等でない面が多々見受けられる。性被害・ストーカー被害・DVが減っていない。(ジェンダーギャップ指数は148か国中の118位。)

ちなみに,行列のできた “子育てがラクになる女性学講座 ” などの講座を企画・運営して知り得たこと、感じたことは 以下の通りでした。
①三十代の若い世代でも共働きでも 夫が妻と同等に家事・育児を分担する人はかなり少ないし 多少分担していても妻にとっては不公平感が強い。一方、妻の方も家事・育児を自分が主に担う方がよいと考え、 仕事をしっかりやりたいという人は少数派。
②公平な社会制度が未構築。税制や年金制度面が不平等でそのしわ寄せがシングルマザーや非正規労働者にかかっている。”それでも” と 最後に森田さんはこう述べて講演を締め括っています。
「みんな,つながっていた!専業主婦としての辛さも、働く母としての大変さ、手応え、誇りも男女共同参画センター職員としてのやりがいも、すべてがつながっていた!!」

今回の講演テーマは昭和から平成の世代を日本的風土の中で企業戦士やその妻として生きてこられた大多数の参加者の皆さんにとって ”平等” の意味するところひとつをとっても解釈に相違がある点は否めませんでした。自由討議の時間では喧々諤々の意見が飛び交う一幕もありましたが、我々の世代にとって貴重な勉強にもなり、また会も盛り上がりを見せ、盛況のうちにお開きとなりました。

スライドショーで判り易くまとめた資料を基に貴重なお話をしてくださった森田さんにはこの場をお借りして改めて御礼申し上げます。なお お開きのあと残られた十名の方々で撮った集合写真 並びに森田講師の近影を添付
して活動報告といたします。幹事の事前連絡漏れにより先に帰られた方々にはお詫びを申し上げます。
 以 上
     

早稲田サロン  世話人 岸川 公一