文教部会  

小金井稲門会創立50周年記念事業の一つである市民公開講座の実績を踏まえて、継続的に市民公開講座を開くための文教部会(文化教養部会の略)を発足させる運びとなりました。
部会長 : 藤森 勝年氏
平成27年 岩上 安身先生 講演会 「激動の世界情勢の中で日本はどうあるべきか」
平成26年 森透匡 先生 講演会 「元刑事が語るサギにだまされない方法」
平成25年 仮野忠男先生 講演会 「目まぐるしく変転する政治状況において日本人は如何にあるべきか」
平成24年 岡野光夫先生 講演会 「世界に先駆けた細胞シート再生治療のスタート」
平成23年 川村晃司先生 講演会 「政治とメディアの品格」
平成22年 鍔山英次先生 講演会 「武蔵野の名水群と小金井の自然環境」

岩上 安身先生 講演会 「激動の世界情勢の中で日本はどうあるべきか」

 日 時 : 平成27年6月13日(土)14:00〜
 会 場 : 商工会館2階(JR中央線武蔵小金井駅南口・連雀通り・小金井市役所本庁舎前) 

 講 師 : フリージャーナリスト 岩上 安身

 
講演表題 : 「激動の世界情勢の中で日本はどうあるべきか

第八回市民公開講座
平成二七年六月一三日、小金井市商工会館で、講師岩上安身氏を招いて第八回市民公開講座を行った。

 岩上安身(いわかみ やすみ)氏は、早稲田大学社会科学部卒 フリージャーナリスト。
平成二七年三月までテレビ朝日午前八時のワイド番組にコメンテーターとして出演。
世界を駆け巡った経験を基にした豊富な知識で週間現代など複数の週刊誌にコメントを書いている。

 この日は、「激動の世界情勢の中で日本はどうあるべきか」というテーマで講演をいただいた。

 今はいろんなことが同時に起こっている。世界中が軋んでいる。
アメリカ主体の世界の次の世界はあるのか。冷戦の終わりは何だったのか。
再び冷戦が起ころうとしているのではないか。
アメリカと中国の覇権争いはどうなるか。
TPPとAIIBの実態について。
集団的自衛権はどういう意味を持つか。今後どうなるか・・・・
などの問題について歯に衣着せぬ指摘をいただき大変興味深かった。

 終了後の懇親会にもご参加いただき盛り上がった。
                  
 参加者 会員三八名  会員でない人一二名・・・合計五〇名
(藤森勝年 部会長 記)
森 透匡先生 講演会 「元刑事が語るサギにだまされない方法」

 日 時 : 平成26年6月14日(土)14:00〜
 会 場 : 商工会館2階(JR中央線武蔵小金井駅南口・連雀通り・小金井市役所本庁舎前) 

 講 師 : 元千葉県警警部 森 透匡(ゆきまさ)氏

 
講演表題 : 元刑事が語るサギにだまされない方法

 講演のご案内


 2014年6月14日(土)14時から、小金井市商工会館2階にて第8回市民公開講座を行いました。
 (小金井市教育委員会後援)
 参加者は、会員42名及び非会員の参加13名の55名。

 千葉県警勤務当時の体験を踏まえて、詐欺の手口、防御の方法、嘘の見抜き方等伝授されました。
 時に、参加者に問題提起して、「捜査会議」と称する検討の時間を持ち、また「刑事の雑談」と題して、捜査の体験話をまじえるなど工夫されて、2時間を参加者にあきさせず、有意義な講演でした。

 終了後の懇親会(早稲田サロンと合体)に講師も参加していただき、大変盛り上がりました。


仮野忠男先生 講演会 「目まぐるしく変転する政治状況において日本人は如何にあるべきか」

 日 時 : 平成25年6月22日(土)14:00〜16:00
 会 場 : 商工会館2階(JR中央線武蔵小金井駅南口・連雀通り・小金井市役所本庁舎前) 

 講 師 : 仮野 忠男 先生

 
講演表題 : 目まぐるしく変転する政治状況において日本人は如何にあるべきか

 講演のご案内

 講師は、稲門出身の仮野忠男先生(政治ジャーナリスト)で、「目まぐるしく変転する政治状況において日本人は如何にあるべきか(政権交代時代の意義を考える」というテーマでお話を頂きました。
 会員でない人の参加を含めて約60名の参加でした。
 毎日新聞の政治記者として活躍されていた時代の体験を基にしたお話は感動でした。特に、自民党全盛時代は「擬似政権交代」(自民党内での総理の交代にすぎなかった)であったが、2009年民主党への本格的政権交代に国民はチャレンジしたが、大失敗に終わった。しかし、自民党がこれにより生まれ変わったはずだというお話は前向きの姿勢として歓迎すべきだと感じました。
 公開講座は年一度6月ころ開催予定です。


 



 

 

 

 

岡野光夫先生 講演会 「世界に先駆けた細胞シート再生治療のスタート」

 日 時 : 平成24年6月23日(土)14:00〜16:00
 会 場 : 商工会館2階(JR中央線武蔵小金井駅南口・連雀通り・小金井市役所本庁舎前) 

 講 師 : 岡野 光夫 先生

 講演表題 : 「世界に先駆けた細胞シート再生治療のスタート

 講演のご案内

 当日は会員のほか、市外からの一般の方も足を運ばれ60名ほどのご参加がありました。ほんとにあと何百人何千人にも聴いていただきたい内容だったので、残念です。まさに画期的な内容と迫力でした。

 医療現場で今なにがおこっているか?
薬を飲み続ける対症療法ではなく、根本的に病気を治す治療、細胞による治療がはじまっているというのだ。

 20年前から岡野先生が世界初日本発で開発された「細胞シート」が鍵。角膜損傷で目が見えなくなった人の口腔内の粘膜を2ミリメートル四方ほど取り出し、それをシャーレ(培養皿)に入れて二週間ほどで細胞シートができる。患者の角膜上皮を覆う結膜を取り除きそこに細胞シートを移植し、目が見えるようにできる。
 心筋症の患者が、つけていた人工心臓をはずして普通に生活できるようになった。はじめドナーを探していたが、自分の足の筋肉で細胞シートができ、それを心臓の疾患部に貼り機能回復。この人は今元気いっぱい再生医療の患者の会を立ち上げているという。
 食道癌、歯周病の治療でも成果がでており、糖尿病もインシュリンを出す細胞を使って毎食前にインシュリン注射をする必要もなくなる方向にきつつあり、血友病の研究も進んでいる等など、いままでには考えられなかったことが、次々現実となっているようだ。

 人間の細胞はなんと60兆あるといわれる。細胞の働きや性質は20世紀後半、培養技術が発展し、高分子レベルでの解析も進んで、岡野先生の再生医療のアイディアも出てきた。はじめは培養した細胞を注射で移植するという取り組みであったがうまくいかず、失敗を繰り返したという。そこで岡野先生がインテリジェント表面(温度に応答して構造を変化させる高分子で修飾した表面)を発見。これは日本発世界初の発見。インテリジェント表面の性質は37℃では表面が水をはじく疎水性になり細胞が接着・増殖し、32℃以下にさげると表面は親水性になり、細胞をシートのままきれいに剥がす事ができる。そのため結合タンパクを壊さず細胞がばらばらにならずに残るという。

 2008年、先生は先端生命医科学研究の教育施設を作った。
80メートル四方のスペース。医師とエンジニアが交流しお互いが刺激し合って、いろんな角度から日本人が新しい発想を拡げていけるように。今そこでは、医師、獣医,工学系学生、企業の技術者などが一緒に研究している。

 昨今注目のips細胞(京大山中教授)、これはいわば、おとなの細胞を取り出し胎児の細胞にもどしてやるというものすごい技術だが、治療にどう使えるかはまだまだ問題のようだ。
 「自分だけが儲かればいいではなく、日本人が世界初でやっていかなくてはいけない。歴史に残る仕事をし、世界のために貢献できる日本人でありたい。」
 医学界では異端児とされ、かつては研究室に机も与えられなかったという逆境のなかで、失敗を重ねつつも突き進んでこられた岡野先生、いまやその論文がフランスでは人類の宝と評されている。

 ひとのものまねでなく、新しいことに取り組んでいくという信念と姿勢、そして行為し続けるエネルギーが、活き活きとした空気として会場にあふれ、まさに心身が再生する感じであった。スケールの大きいご活躍を祈るばかりである。(國分ひろみ記)


岡野光夫(おかの てるお)先生 略歴

 東京女子医科大学・先端生命医科学研究所所長・教授、
 早稲田大学客員教授
 内閣官房医療イノベーション推進室室長代理
 
 1974年 早稲田大学理工学部応用化学科卒
 1979年 同大学専攻博士課程修了(工学博士)
 東京女子医科大助手、ユタ大学助教授、東京女子医科大学助教授を経て
 1994年同大学教授
 1999年同大学医用工学研究施設施設長。
 2001年から先端生命医科学研究所所長
 
 専門はバイオマテリアル、人口臓器、再生医工学等
 特に高分子の微細構造を制御することによってはじめて可能となる再生医学研究を続けている。
 1992年 日本バイオマテリアル学会賞
 2005年 江崎玲於奈賞
 2009年 紫綬褒章受章


会場の商工会館前 受付

亘理会長挨拶
國分副会長挨拶 藤森部会長挨拶

岡野先生講演

岡野先生を囲んで、懇親会(やるき茶屋にて)



川村晃司先生 講演会 「政治とメディアの品格」


 さて、早稲田大学小金井稲門会では平成21年の創立50周年記念事業をきっかけとして市民公開講座を年に一度行うこととしています。

本年は下記の要領で実施いたしました。

 日  時 : 平成23年6月4日(土) 14:00〜16:00
 会  場 : 商工会館萌え木ホール

 講  師 : 川 村 晃 司 氏
        (テレビ朝日コメンテーター ワイドスクランブル・やじうまプラスなど)

 講演表題 : 政治とメディアの品格
          政治とメディアから読む日本
          ワイドショウ政治の功罪
          戦場記者から見た世界の真実
          ワイドショウ的時事講座
          世界から見た日本人
          メディア社会〜時代とその責任


川村 晃司氏 プロフィール

テレビ朝日コメンテーター

1950年青森県生まれ。

早稲田大学文学部卒業後、
テレビ朝日入社。

84年から89年までカイロ支局長を務め、イラン・イラク戦争を最前線で取材。

帰国後、89年中国天安門事件を現地リポー ト、91年の湾岸戦争勃発時にはバグダッドで105日間の長期取材を敢行した。

以後『ニュースステーション』報道デスク、ニューヨーク特派員を経て、
99年―2000年コロンビア大学客員研究員。


現在は『やじうまプラス』のほか『ワイド!スクランブル』など各番組で特に外交、政治経済に強いコメンテーターとして活躍中。
2004年―現在、立教大學非常勤講師(政治とメディア)
2009年―早稲田大学非常勤講師

ドキュメンタリー企画『シリーズ特集・老い…』でギャラクシー賞、
『今、我が子は』で民放連賞受賞。
著書に『戦場記者の10年』ほかがある。

講座開始前の様子 受付
佐藤市長挨拶 藤森部会長挨拶
川村先生ご講演 川村先生ご講演
講座参加者 講座参加者からの質問
木内副会長 謝辞 亘理会長 他幹事
川村先生を囲んでの懇親会
川村先生を囲んでの懇親会
川村先生を囲んでの懇親会



鍔山 英次 先生講演会「武蔵野の名水群と小金井の自然環境」

日程 : 平成22年5月15日(土)  14:00〜16:30
会場 : 商工会館萌え木ホール
講師 : 鍔山 英次 先生(写真家)

講演表題 : (写真で観る)武蔵野の名水群と小金井の自然環境

 鍔山先生は早稲田大学出身の全国的に有名な写真家で、世界を股に活躍され、東京・就中多摩・小金井の歴史、風物に造詣の深い方です。

主催 : 早稲田大学小金井稲門会
後援 : 小金井市教育委員会

 当会主催の市民公開講座はこれが三回目。50周年記念事業以降、文教部会が組織(藤森委員長)されて初の開催となる。

 当日は素晴らしい天候で会員以外の参加者も多く、八王子のプロカメラマン、元都庁の公害研究所所長等も来られ盛況であった(80名)。

 鍔山先生は昭和30年から小金井前原町に住まわれ、当時は前原小はなく一面田んぼで、貫井南の名人に井戸を掘ってもらったこと、汲み取りも続いていたが、あっという間に雑木林が消え、宅地化がすすんだことなど回想された。そしてこの辺りは野川の源流である国分寺の湧水群(昭和の名水百選にあげられたものもある)、東久留米の湧水などに囲まれ非常にすぐれた環境にあると述べられた。
 講演は、下記の項目に分けられ、映像ストリーとして、古い地図や美しい名水の景色、新聞記事などの写真をふんだんに使って、歴史地理的、生物学的視野に立ち且つ抒情に溢れた独特の内容であった。250枚に及ぶそれぞれの写真はネガから起こしてパソコンにおとすという作業で編集されたとのこと、この日のための資料づくりに大変な労をおかけしたようである。

映像ストリー「武蔵野の名水群と小金井の自然環境」

1)武蔵国と河川   2)近郷の名水 3)玉川上水と小平  4)野川の源流
5)野川の自然    6)落合川    7)「武蔵野夫人」小説と映画の狭間
8)名勝「小金井桜」  9)野川の川霧 10)川に想う


以下、講演の中から

・縄文時代は大宮の辺りまでが海だった。時代を経て治水のために利根川、荒川の大掛かりな改修工事が行われた。河川の改修のあとを見ると、自然の川が右に左に蛇行しているのに対して、殆どが直線的になっている。なかでも人間によってその姿を大きく変えられたのはボルガ川。かくして大地を血管のごとく這っている水脈は人間によってずたずたに切り裂かれた感がある。

・近郷の湧水群は、三鷹、調布、国立、府中、神宮に散在する。

・ 玉川の玉の意はきわめて清冽な水、のことであったろう。江戸時代の玉川上水の末端は浜離宮の仙台藩のところまであった。

・ 国分寺市では一本の椋の木の根元から湧水があるのがみつかり、それを生かそう、湧水博物館を作ろうなどの構想がある。殿ヶ谷公園が宅地化されようとしたときも反対運動があって園内の湧水も守られた。行政が何を大事にして特色を生かすかは大切なこと。

・ 東久留米市は駅を建てるとき、富士展望台を作った、そして駅から富士山を臨む道も作った。この市を流れる落合川は平成の名水百選に入っていて、映画武蔵野夫人の舞台にもなった。

・ 大岡昇平の「武蔵野夫人」の影響で私は小金井に来た経緯があるが、映画の川の景色は野川でいくら捜してもなかった。映画の脚色をした福田恒存に聞くと野川ではなく落合川ということがわかった。このことが発端で親友だった大岡と福田は絶交している。大岡は友人の富永次郎のところに一年ほど滞在してこの小説を書いた。何年か前大岡先生を小金井にお招きしたことがあった。元のままの処、変わってしまった処を先生は懐かしく訪ねておられた。

・ 清流の指標となる昆虫のひとつ、シマアメンボウは表面張力の高い清流にしか住めない(濁水は表面張力が低い)。

・ 野川には青大将など蛇がたくさんいた、この状態が生態系は健全である。

・ 桜は人の手を経ずして咲くことはない。小金井の五日市街道沿いの桜は一千百十数本(番号が付いている)植えられている。奈良吉野と常陸桜川の由緒正しい山桜が先人の手で後世に引き継がれてきた。60%は山桜、他にかすみ桜、大島桜など銘木が集中している。毎年十数本が倒れる。659番は来年その姿を見ておきたい老木である。後人のためにだれかがこの桜を守っていかなくてはならない。
いま名勝小金井桜の会(会長 石田精一)事務局TEL042−301−5132がある。日本全国歩いてみて気づいたのは、新しい町にはさくらの古木がないということだ。

・晩秋から厳冬にかけて、野川に沿って川霧が出現する。ダイナミックに白いベールが辺りを覆い、日の出とともに跡形もなく消え去る。三鷹も国分寺も湧水は多いのに霧は出ない。川霧は小金井特有の風土的景観である。

*お話を聞くほどに、みずみずしい小金井の恵みが髣髴し、後人のためにこの環境を守らなばならないのだ、と痛切に感じた。鍔山先生は日々私たちを守っている自然のすばらしさとともに、悲しい人間の驕りの危うさを教えてくださった。

 今回もまた感動的な公開講座となりました。(國分副会長記)

鍔山英次氏 プロフィール
1955年 早稲田大学政経学部卒
1956年 東京新聞社入社
1967年 中日新聞社入社
1987年 東京本社編集局写真部長
1996年 フォト・アドバイザー
2001年 退職後 フリー

専門テーマ/報道・舞台写真 自然現象(森林・都市と水環境)

賞/1991年、1995年 日本新聞協会賞

写真展多数 
「飛べ!カルガモの子よ」
「スーパー歌舞伎展」
「東京・蘇る水と緑展」
「団伊玖磨のオペラ展」
「暖流・異彩展」など

著書多数
「秘境の仏たち」
「カルガモ一家」
「渡良瀬有情」
「日本の霊性」など

藤森部会長 挨拶 亘理会長 挨拶
鍔山先生 講演 会場の様子


鍔山先生を囲んでの懇親会
鍔山先生を囲んでの懇親会


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