第一回市民公開講座
「建築家区長の放った果敢な行財政改革」
2009年6月20日(火)午後2時〜4時半
於・小金井市商工会館2階ホール
講師 原田敬美先生
 当日は梅雨時にもかかわらず晴天で、会員・市民が多数参集され成功裡に終わりました。稲葉小金井市長、昼間小平市副市長のご参加もあり、熱気溢れた講演会になりました。小金井市議会議員や小金井市役所の都市開発部、建設部、企画財政等々の方にも前日もご案内したのですが、一人のご参加もなく残念でした。

 最初に増田実効委員長より50周年記念事業全般の紹介と、第1回公開講座の開講の挨拶がありました。

 原田先生は100分間立ちっぱなしで一瞬のよどみもなく、びっしりと内容の濃いお話をされました。

 建築家がなぜ区長になったのか。きっかけは1983年、丹下健三氏が座長の港区街づくり懇談会委員にさかのぼります。その後15年間に港区の都市計画審議会委員、定住対策研究会会長、超高層住宅問題研究会など多くの公職を経て、当時の区長の要請を受け、突然に区長に選ばれたかたちとのこと。

 未知の世界、いわば権力・利権・陰謀の世界に放り出され、2000年から2004年、原田区長の挑戦が始まります。税務課長が「税金の徴収率は23区中23位です」と平然と言った途端、「どういうつもりだ、すぐ13位までにしろ!」と怒鳴りつけた。課長はびっくりして部下に相談、徴収率は改善の一途をたどる。因みに、作家中村うさぎは取立ての恨みつらみを週刊文春で吐露しているそうです。

 以下、原田区長の実績。

・ 2000・6に550億だった借金を2004・6には400億に減らし、435億の貯蓄を800億に増やした。

・ 再開発による公園・道路整備(土地交換、寄付受領が80%以上)

・ 土木資産(道路・橋・区民住宅等インフラ整備)の増加

PFI(民間活力)の活用
NPOと協働の子育て施設(理由の如何に拘らず預けられる。健康的な子育ての為に母親にリラックスしてもらうように。0〜18才が広い部屋で遊べる、高校生が楽器を演奏したりコンピューターを使える空間を用意。行革で職員を減らしているのに新たに保育所を作るわけにはいかないので民間にゆだね、公費の支出を抑えた)

障害者施設(新橋6丁目、町会長との話し合いから住民を説得)

特別養護老人ホーム(廃校の土地を無料で貸与。廃校で出る残廃コンクリートの処理には5トントラック1000台規模が必要)

区立住宅(土地無料貸与)

区立芝公園の整備(土地交換で取得。町会の協力で花植えやメンテでコミュニティ作りもできた。国土交通省の"緑の賞"受賞)

生活安全条例(警視庁と連携、治安担当の警察官を行政に採用。建築許可もまず警視庁に提出、防犯面に留意する)

附置義務住宅制度(オフィスビル建設の際は同面積の住宅を税金の代わりにデベロッパーに建ててもらう)

総合設計制度(業者に容積を上げる代わりに広場を作ってもらう)

介護保険白書(港区独自の6段階介護保険料設置)

・ 中学生までの医療費無料化

公正な契約制度(談合抑止、違約金制、予定価格は事前に公表)等々。

 日本初の施策が目白押し。原田区長の発明による数々の改革、胸のすくような爽快かつ見事な行政手腕に驚くばかりです。まさしく建築デザイナーとしての芸術的表現というべきではないでしょうか。剣道で鍛えた強い健康的な精神、たゆまぬ好奇心と攻め・挑戦の姿勢を貫かれた自然体のタフな生き方。本当に真面目に真剣にやり続ければ、必ず難事は解決、道は開けるのだと、あらためて教えられました。

 原田先生の稀有なご人徳に触れ、光栄で幸せな一日でした。

 今回は第1回と言うこともあり参加人数52名、校友会員以外7名でしたが、次回にはさらに多くの参加を期待しています。

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